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あなたは見抜けますか? 施工エラーのいろいろ 2 < 瑕疵検査編 >

 

事例-1‐(1) 基礎工事
(基礎の巾木部分の写真)  
●写真はダメ施工の典型的な例です。
基礎の施工と精度が杜撰すぎて通気水切り板金部の通気口が塞がっています。当然、床下の換気量は部分的に不足しています。また、右側の写真の部位では水切り板金が水切りの役割を果たすことはできません。

事例-1‐(2) 基礎工事
≪床下の漏水≫
調査の結果、基準法で定めている基礎の高さが周囲の地面(GL)より低いことが分かっており、尚且つ、基礎自体が設計されている位置(高さ)より、21㎝~29㎝も低いのですから、基礎コンクリートの打継部から雨天時などに浸水しています。重大な瑕疵(欠陥)となっています。
この施工不備は入居後(新築)2ヶ月で発覚しました。これは、ベタ基礎でいうところの耐圧盤と立ち上がり部のコンクリート打継部から雨天時などに浸水しているのです。
(基礎内の漏水の状態を撮影.↓→)
コメント
施主の方は、床組構造材等に発生しているカビなどにより大変不衛生な状態の中での生活を余儀なくされています。このような状態でも、自称建築家といわれる建築士が工事監理を行った建物というのですから言葉がありません。

事例-1‐(3)、床下換気不良 (2018/09 掲載)
以下の写真は、床下で撮影した断熱材や床組構造材です。

※基礎コンクリート、断熱材、土台・大引き・鋼製束などにおびただしい水滴が・・・
 ↓赤い線部分の床下換気口を塞いでおり、その結果が上写真です。
コメント
ベタ基礎であっても換気口を塞いでいる場合、上写真のように激しい結露が発生する場合がある。
“軸組構造材(床組材)のカビや腐朽によって、建物の耐久性は期待できないでしょう。また、健康被害も気になるところです。”

事例-2-1. 構造躯体
耐力壁の施工不備
≪釘種の比較≫
N50
釘頭径: 6.6 ㎜
胴径: 2.75 ㎜
釘の色:素地色
NC50
釘頭径:4.8 ㎜
胴径:2.1 ㎜
釘の色: 金または黄色
(造作専用釘:耐力壁には使用不可)
右の写真:釘頭径が6.6㎜必要ですが
4.19㎜しかありません。
●下の写真:合板の厚みが9.0㎜に対し
2.59㎜もめり込んでおり、計算した耐力が期待できません。
(↑耐力壁に打たれている釘の種類と、めり込み深さを測定)
(↑耐力壁に打たれている釘の種類と、釘頭の径を測定)
●木造軸組工法の建物において筋交いに代えて面材耐力壁合板を使用している場合、建築基準法(施行令・告示)に釘打ち間隔や釘種の基準が規定されています。それを守らず、建物全般にNC50という造作専用の釘を使用して建築している建物が存在していました。
 その他に、剛床とした床組みおいても釘種の間違い・釘打ち不備などが全般に認められていました。従って、万一、地震などの瞬間的な外力等が加わった場合等、倒壊の危険性が指摘されます。
コメント
調査を行ったこの建物は、築後3年程度でしたが安全性(耐震性等)が欠如していると判断され既に存在していません! 
その経緯等はKJSレポート65で掲載しています。

事例-2-2. 構造躯体

耐力壁の施工不備 (以下は全て耐力壁)

(2014/10 掲載)
(小屋裏)
(これらの面材合板は釘間隔を、外周部:100㎜、その他:200㎜以下で壁倍率の認定を受けている)

(↑ 下地に受け材がないうえ、釘打ちもない)

(↑↓ この面材合板の釘間隔は、外周部:100㎜、その他:200㎜以下で打たなければ違法となる)
※上段写真のような施工不備の状態が22箇所(20列)以上確認されている。
(半間を1箇所又は1列とした場合)
破壊検査の結果!
 
≪Comment 1 ≫

面材耐力壁の施工不良の状態は、上段写真のとおり、小屋裏や下屋等でも十分証明されるのですが、この会社の建築士や弁護士らは、「他はきちんと施工されている」と言い張るため、裁判所立会いのもとで外装板(サイディング材)を2箇所剥がして調査しましたが、やはり「耐力壁の施工不良」という結果でした。↓

≪Comment 2 ≫

この欠陥住宅建築会社は、これらの状態が証明されても、さらに“この部分だけだ”と子供みたいな駄々をこねています。裁判所立会いのもとで破壊検査を行った目的は、ランダムに抜き出した場所(外壁)を撤去し、①調査結果の補助的現況確認、及び②全体の施工状態を判断するために行ったものです。建築会社の代理人弁護士も、立場上その建築会社の色に染まらざるを得ないようですが、司法(裁判官)はそんな非常識は認めません。

大切な住いの外壁を剥いでまで、証明の協力をせざるを得なかった施主(居住者)の方の心痛が分からないのであれば、人間として失格ですし、建築会社としても当然失格です。○○ハウスさん! 

今回、追加掲載した「事例2-24-2、(5-(2))、5-(3)」の建物は
同社(○○ハウス)が建築した欠陥住宅です。
≪瑕疵判断の基準≫

建築基準法施行令第46条、告示1352号(軸組の設置基準)

住宅金融支援機構 木造住宅工事仕様書(フラット35)




事例-3. 構造躯体一般
省令準耐火構造及び準耐火構造(建築基準法)以上の建物に関する瑕疵    *3枚の写真は別の建物
(2階床や壁内等に配管されている合成樹脂製可とう電線管(CD管))
●写真は壁内や天井部を貫通している合成樹脂製可とう電線管、いわゆるCD管といわれる電線管ですが、本来はコンクリート埋設専用です。特に省令準耐火構造以上の建物(界床、界壁)等の場合には管内の電線の種類に係らず保護管としても使用できません。
コメント
この程度のことは、施工不良や瑕疵という以前に建築に関する基本的な知識です・・・!
改善工事を行うとすれば大変厄介なことになってしまいますので気をつけましょう。



事例-4-1. 外壁工事(通気措置)
●赤い矢印部に見える透湿防水シートが外装材側にめくれて接触している状態です。これでは通気層を塞いだ状態であり給気口としての役割を十分に果たすことが出来ないばかりか、風切り音が発生する場合もあります。
※写真に示すような状態が一部にみられる程度であれば特に影響はないと思われますが、この建物の場合は建物の4面すべてにわたりこのような状態ですから改善工事を行うほかありません。

※左写真は、下段の事例4-2の建物ではありませんが、施工不良の状態は事例4-2と同じ状態です。

(↑写真は土台水切りと外装材の間(通気工法における吸気口部分)を撮影しています)


事例-4-2. 外壁工事(通気措置)
(2014/10 掲載)
破壊検査の結果!
≪写真 1≫
・外装材を2箇所(各3m)外して、土台水切り部分の透湿防水シートを確認。
≪写真 2≫
・通気層の厚みが15mmであることを確認。
≪写真 3≫
・土台水切り側に透湿防水シートの裾部分を両面テープ等で接着していないため、サイディング板側(外側)に通気層の厚みにおなじく15mmめくれています。この状態が建物外周の全般に認められている。
さて、上写真(1~3)では何が瑕疵(欠陥)なのでしょう。
① 外気が青矢印の方向に抜けようとしても、給気口部分(土台水切り部分)で閉塞しているため、外壁通気工法にはなりません。
② 外気が透湿防水シートの背面の構造材側に廻り込み、木材等の腐朽に繋がります。
③ 上記①.②.により、建物自体の耐久性に悪影響を及ぼします。
④ 不快な風切り音の原因になります。
〔瑕疵判断の基準〕
1)瑕疵担保履行法「設計施工基準」第10条1項:外壁通気工法
2)各外装材メーカー等の施工規定と保証規定 に違反しています。

事例-5‐(1)断熱工事

①.屋根断熱材の設置状態 ↓  
①.写真は屋根の垂木間に設置されたボード状断熱材ですが、垂木間に挟み込んでいるだけで全く留め付けがなされていないため、ずり落ちています。無論、屋根の全部に留め付けがなされていないのですから設計された性能や契約された性能は期待できません。
②.床下断熱材の設置状態 ↓  

②.写真は床下の根太間に設置されたボード状断熱材ですが、全く留め付けがなされていません。見ての通り、床の全部に留め付けがなされていないうえ、隙間だらけ(下段の写真)の施工状態ですから設計された性能や契約された性能は期待できません。

大引き材の上に重ねて設置しているなど、手抜き工事でもありますが、そもそも、断熱構造や断熱の意味を理解していない職人が行った工事であるとともに、プロであるはずの建築士(建築家)は工事監理費用を受け取って監理をしていたのに何を監理していたのでしょうか?

新築してまだ2ヶ月なのに、この状態では建築主は憤りを感じるだけでは済まされません。当然適切な設置状態に(改修)することが必要です。

ちなみに、中段と下段の写真を比較すれば分かるように大引き材は古材を再利用していることが分かります。施主の方が事前に承諾をしていれば問題ないのですが・・・。


事例-5‐(2)断熱工事

(右側の写真は内断熱工法における外壁部分を撮影しています)

さて、何が施工不備なのでしょうか?

断熱材の留め付け方法の不備と桁下端の隙間の存在
断熱材自体(サイズ)の選定ミス

※幅が425(42.5㎝)サイズの断熱材を設置していますが、そもそも、この建物のモヂュールは1.0mなのですから同じメーカーのサイズでいえば470(47㎝)サイズを設置しなければいけません。その証拠に青い矢印部分に隙間が存在しています。

コメント

同建築会社の同職人が最初から完成迄この現場に携わり施工(設置)していたのですから、この状態はこの建物の全般に及んでいるものと思われます。さて、どの程度の範囲でどの程度の改修工事になるのか想像できますか?


事例-5-(3). 断熱工事の施工不良
破壊検査の結果!  (2014/10 掲載)

未だに断熱材の施工方法さえ知らない建築会社(建築士や大工職人)があるようです!

≪Comment 1 ≫

断熱材の施工不良の状態は小屋裏や床下等でも十分証明されるのですが、この会社の代理人弁護士らは、「他はきちんと施工されている」と言い張るため、裁判所立会いのもとで室内側のプラスターボードを剥がして調査をしましたが、やはり「全般に施工不良」という結果でした。

■室内側のプラスターボードを撤去したところの写真(5枚)
≪Comment 2 ≫

この欠陥住宅建築会社は、“これで何が悪いのか、居住性を害しているという証明をしろと”と開き直っています。注意書きにはどのような理由があるのかお勉強しなさい○○ハウスさん!

※下段の写真は、他社の正しい施工例です。上段の写真(施工状態)と比較してみてください。小規模の工務店でも、この程度のことは建築士がしっかりしていれば、きちんと正しい施工をしています。

ロックウール工業会から、充填断熱施工マニャル(正しい施工例、悪い施工例等)が紹介されています。「↓こちら」をご参照ください。
≪瑕疵判断の基準≫
・ロックウール工業会、及び製造販売メーカー施工要領書
・日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説JASS24断熱工事
・住宅金融支援機構 木造住宅工事仕様書(フラット35)
・消費者のための欠陥住宅判例第3集 民事法研究会



事例-6. 設計ミスと工事監理のミス
①玄関内部を雨天時に撮影した写真  

①、外は雨が降っています

ガラス扉の周囲から玄関内に雨が侵入しています。
ガラス扉の周囲から隙間風が侵入して気密や断熱効果は全く期待できません。
ガラス扉の周囲の隙間から外部の騒音や匂い、煙・ホコリ・ゴミなどが侵入しています。

※左側の矢印部分の隙間には雨水の侵入を防ぐために新聞紙を挟み込んでいます。

②水切り板金の施工不備(場所は写真①の扉の両側)  

②、矢印の部分は基礎と外壁の間(土台木の側面)に設置された水切り板金といわれるものです。場所は頻繁に利用する玄関ドア(ポーチ)のそばであり、怪我をする可能性が高いことは容易に予測できるはずです。そもそも、真面目に建築に携わる者ならばこのような杜撰な施工はしません。

③.玄関通路の足元に設置されたフットライト

③、この照明器具は外壁に面する屋内通路に設置されていますが、過熱等により火災になる可能性があるため、メーカーでは断熱材が充填されている壁には設置不可として注意書をしています。建築士・建築会社・電気工事業者の誰しもが何も考えずに設置したものと考えられます

コメント

この建物の瑕疵検査においては、その他にも軽微なものから重大な事柄まで50項目近い瑕疵が発覚していますが、上の写真の件だけでも住宅の性能としては考えられない非常識なことです。建築会社の技術水準や意識の低さ。そして、建築士としての技量の無さが浮き彫りとなりました。

ちなみに、今回の上段迄に掲載している施工不備の例で、この事例-6を含み事例-1‐(1).(2)の基礎工事、事例-4の外装工事、事例-5-(1)の断熱工事、は同じ建物であり、同じ設計事務所のM建築士が設計や工事監理を行ったとされる建物です。本当か嘘かは分かりませんが、本人いわく有名な○○○協会に属する建築家だそうです。現在、これらの件については知らんふりを決め込んで他の地域で素人の方を相手に設計・監理業務を行っているそうです・・・。提訴されることは必至でしょう!


事例-7‐(1)その他 宅地造成(大型ブロック積み)に関する手抜き工事とその影響

(写真は調査のため大型ブロックの裏面を80㎝程度掘り下げたところ ↑)

●大型ブロックの空積み;天端コンクリートや胴込コンクリート、更に裏込材(砕石)の未施工

※そもそも、この部分(擁壁ブロックの際)を掘削できること自体が有り得ない事であり手抜き工事です。

※その他にも、水抜き穴の未施工・基礎の形状不備(不足)や一部未施工・大型ブロックと基礎の隙間に15㎜厚の木片等の敷き込みをしているなどデタラメな施工がなされています。

●擁壁ブロックの裏側には産業廃棄物での埋戻しが行われており、数十に及ぶものと推測されます。
(アスファルト・スレート・コンクリートブロック・発泡スチロール・電気スイッチプレート等々が混入)

※このような物を混入すれば地盤の不同沈下等により建物が傾くのは当然です。実際に産業廃棄物で埋め戻されている側の地盤が沈下し、建物もその埋め戻している地盤側(擁壁側)へ傾斜しています。

※スレートは有害な石綿等を含んでいる可能性があるため特別管理産業廃棄物としての法律(解体時・搬出時)にも抵触する可能性があります。

(写真は掘り上げた産業廃棄物 ↑)

コメント

 本件のような造成工事に関する手抜き工事は、地元では土木工事のプロといわれる業者が行っていたのですが、当然のごとく擁壁ブロック自体や新築の建物も傾いています。現在係争中ですが施工業者や売主、更に不動産仲介業者は擁壁ブロックの近くに家を建てたことが悪いなどとして開き直っています。こんな理不尽なことをしてまで儲かりたいのでしょうか。皆さんはどのように思いますか・・・。
結果、建物(基礎部分)がどのような状態になっているのか。皆さんは次の写真が基礎のどの部分なのか分かりますか?

(↓ 写真は建物の基礎 ↓)

●写真は、いずれも基礎コンクリートとその下の地盤面との間にできた空間部分を撮影したものです。広範囲に捨てコンクリート下の砕石敷き部分が上下に分かれています。地盤沈下によって地盤と基礎の間にこれだけの空間が発生していれば建物自体に影響がでるのは当然です。現在でも地盤は沈下傾向にあり、建物への影響(傾斜等)は深刻です。無論、建築を行う際には事前に地盤調査の結果を判断して基礎設計や施工をするのですから、建築会社の責任も否定できません。

◆ “KJSの山﨑より一言”

KJSでは、これまでの建築検査や建物調査(瑕疵検査)において数えきれないほどの施工エラーを発見し、不具合や瑕疵に対する指摘を行ってきました。今回掲載した事例はその中のほんの一部です。  事例はどの例をとっても設計や建築の基本的なことであり、工事監理や建築検査が適切に行われていたならば特に問題はなく建築されていたはずのものです。しかしながら、これらの瑕疵(欠陥)が発覚した場合、建物の引き渡し後(入居後)に瑕疵修補(改善工事)等の要求をするとなれば大変なことばかりです。「瑕疵担保履行法に基づく保険が制定されているから安心だ」などといっても実際に問題になれば相手方は認めようとしないことが多いのも事実ですし、その相手方が認めなければ結局最終的な手段を選択するか或いは妥協するしかありません。

建築において、欠陥住宅(工事)等を回避する為には、建築主自らが信頼できる建築士等に第三者検査を依頼して建物や建築自体の信頼性を確保しなければなりません。その根拠は今回の実例や実際に被害を被ってしまった方の声を聴いていただければ明らかです。建物の信頼性を確保するにはほんの数回程度の現場検査では知識不足や手抜き工事、監理者不在等による瑕疵等を回避することはできません。KJSは建築主の立場での建築検査・監理をポリシーとしているからこそ、現場により多く足を運ぶことを基本としているのです。そして、それは建築トラブルの原因の芽を摘み採り、回避する為なのです。

「参考」

瑕疵の定義:目的物が契約に定められた内容や社会通念上必要とされる性能を欠いていること。
瑕疵担保責任 :目的物に瑕疵があった場合に、その瑕疵を補修したり賠償金の支払いをしなければならない責任のこと。(事業者に限らず、一般の売主も含まれる)


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